ベルギービール [★おいしいもの★]
すっかり秋も深まってベルギーへ旅した夏は遠い日になってきましたが・・・
今回は旅先で飲んだベルギービールについてちょっと振り返ってみたいと思います
ベルギーというとチョコレートを思い浮かべる人も多いと思いますが、 実は国民一人当たりのビール消費量は日本の2倍近くというビール大国で、 100以上の醸造所で800種類もの銘柄のビールが生産されるともいわれ、 それらは色、味、香り、アルコール度数に至るまで変化に富み、 種類がきわめて豊富なのが特徴です
ビールは多くの場合大麦の麦芽を主原料として(小麦、ライ麦麦芽でも可)
まず麦芽(モルト)を乾燥、焙煎し発芽をストップさせ(焙煎の程度で色、風味が変化)
モルトを粉砕して水を混ぜて沸騰させ糖化させ
これをろ過してできた麦汁にホップを加え煮沸
これに酵母を加え 適した温度で発酵させる
大まかに言うと上のような工程を経ますが、その製法によって以下のように分類することができます
下面発酵 低温で長時間発酵させると末期に酵母が下に沈んでくるのが名前の由来となった透き通ったさわやかなのど越しのいわゆるラガーといわれるもの 歴史が一番新しい製法
上面発酵 高温で発酵させると途中で酵母が上に浮かぶことが名前の由来 いわゆるエールといわれる甘みがありフルーティーで香り高いもの
自然発酵 上面発酵の1種で 麦汁を空気にさらすことで野生酵母を取り入れる方法で 歴史的にみると一番古い製法
とがあり、ベルギーでも生産量の70%は下面発酵のラガーが占めているものの、上面発酵のエールと自然発酵のランビックの多様性が他国に比べて特異的です
ベルギーでビールが盛んになり、このような多様性を生んだ背景については
*緯度が高くワインを作成するのに適したブドウが取れなかったためワイン文化が育たなかったこと
*19世紀まで主流だった自然発酵に適した条件がそろい、この製法が続けられたこと
*ドイツ、チェコのように良質なホップが得られなかったため,ホップを使用する製法が定着した13世紀以前の旧来のハーブやスパイス、フルーツを用いた製法が近年まで続けられたこと
があげられます
またそれぞれの製法の中に以下のような分類もされ・・・本当にその多様性には眼を見張るものがあります
<下面発酵 > ラガー(ピルスナー)(ステラ、プリムスなど)
<上面発酵> トラピスト 修道院内に醸造所を持つトラピスト派修道院のみで作られたビール
アベイ 修道院にまつわる製法で修道院から委託を受けて民間の醸造所が製造したもの
白ビール 大麦麦芽と小麦で作られるフルーティーで酸味があるビール(ヒューガルデンホワイトが有名)
赤ビール 黒ビール 大麦麦芽の焙煎がやや強め(赤)強め(黒)なもの
セゾンビール もともとは農家が冬に仕込んで夏に飲むために造られたビール
ゴールデンエール アルコール度数が高く淡く黄金色でコクがありまろやか、フルーティー
<自然発酵 > ランビック ブリュッセル近郊の野生酵母により自然発酵させたビール
クリーク 若いランビックの樽にサクランボを漬け込んだもの
スペシャルビール 以上に当てはまらないその土地土地の個性的なビール
フルーツビール 色々なビールにフルーツを漬け込んだりジュースを加えたもの
ベルギーでビールが作られ始めたのは、紀元前からとの記録がありますが、
飲用に適する安全なものが少なかった中世に 修道院で自給自足の労働の一つとして保存のきく飲み物としてビール製造が盛んになり また巡礼の人々にふるまわれたという歴史を経て発展 技術が現在にまで受け継がれていきました
ちなみにトラピストビールは世界で7種類あり、そのうち6種類がベルギーのものだそうです
(ORVAL CHIMAY ACHEL ROCHEFORT WESTMALLE WESTVlETEREN)
上の写真の
シメイ CHIMAY はトラピストビールの一つ
レフ LEFFE BLOND BROWN
ブルージュトリプル STEENBRUGGE TRIPRE は アベイ
デュべル DUVEL は ゴールデンエール
ケイゼルカーレルはスペシャル
jupiler maesはピルスナー
モアネットブラウンはセゾン
ベルビュークリークは クリーク
またベルギービールはその種類ごとに飲むグラスが決まっており、
コースターに至るまで一つ一つが違っています
アへル オルヴァル シメイ→ トラピスト
デュベル サタン ギロチン→ エール
マース、プリムス、ステラ→ ラガー
パトラッシュ、デコーニック→ スペシャル
個人的には
ゴールデンエールの最高峰 「世界一魔性を秘めたビール」と称される デュベル DUVEL
同じくエールのギロチン LA GUILLOTINE
が気に入っています
ベルギービールのこの種類の多さににひかれてすっかりファンになり、
グラスコレクターになる人が多いと聞きましたし、
思わずベルギービールの店を出してしまう人もいるそうですが、
なんだか気持がわかる気がします
だらだら書きましたが、要はベルギーには日本で主流のラガー以外のエールやランビックなどのビールの種類が豊富で個性的なビールが多いので、 ひとつひとつ試すのがとても興味深い体験だったということです
分類表を基に飲んだビールに印をつけてみていますが、まだまだ制覇するには先が長い道のりです でもまたそれが グラスコレクションとともに新しい楽しみともなりました